介護現場の働き方を変える、
環境改善。
職場のムダを削減し、
新たな仕組みを定着させる。
CASE STUDY
業務の標準化によって、統一した仕組みをつくる。
人材確保が難しいと言われる介護業界。その中で職場の魅力向上をめざして環境改善に取り組んだ、社会福祉法人尾道さつき会の事例をご紹介したい。同法人が導入したのは、OJTソリューションズの「改善眼プログラム〈職場活性化〉」である。隣接する特別養護老人ホーム2棟を対象に、業務改善の取り組みが行われた。
同法人の施設で以前より課題となっていたのが、整理整頓の徹底である。業務に必要な物が必要な時にすぐ見つからず、探す動作のムダが生じていた。その状況が特に目立ったのが、収納ルールがなく備品があふれていた倉庫。改善策として、在庫が一定量まで減ったタイミングで発注を行う「発注点管理」という管理方法を取り入れ、在庫の最適化を進めた。また、食堂のバックヤードや事務室など施設の各所でも5Sを進め、「慣れ」を基準にしたそれまでの管理方法から、動線の効率化やムダの削減を目的とした管理方法に変えていった。
そうした中で次第に広がっていったのが、「業務を視える化・標準化し、統一した介護の仕組みをつくる」という、職員共通の認識である。場当たり的に業務を行うのではなく、「なぜ」を繰り返して根拠に基づいた判断をする習慣が根づいていった。
一人ひとりの人に合った介護を実現するために。
その他に改善の対象となった業務が、マンツーマン入浴である。「利用者と職員が1対1では、利用者の体調が急変した時の対応方法が分からない」といった不安を解消するため、介護士へのアンケートに基づいて共通のマニュアルやチェックリストを作成。安心して対応できる環境を整え、入居者にマンツーマン入浴を実施した。
一方、残業時間の削減を目的に実施されたのが、介護業務の平準化である。介護士は各ユニットに分かれて入居者のグループを担当するが、ユニットによって残業時間に差が生じるという問題があった。そこで行われたのが、入居者一人ひとりの介護度の分析と介護士の業務量把握である。残業が多くなりやすいユニットに対してはグループ構成を見直し、業務を平準化できるような仕組みを構築。残業の削減に向けて改善が進められていった。また、給与日付近に残業が多くなりやすい人事課の業務についても、改善を実施。勤怠管理システムからExcelに手作業で転記するという手間のかかる方法から、システムのデータが直接反映される仕組みに変更し、残業時間の削減に成功した。
これらさまざまな業務改善によって浸透していったのが、一人ひとりの業務を視える化し、共通の仕組みとして定着させる姿勢だ。100人の入居者がいれば介護の方法も100通り存在する。それぞれの人に合った介護を実現しようと探究を続けてきた職員たちにOJTソリューションズのプログラムが受け入れられ、環境の改善に役立てられた。入居者と触れ合う時間がより充実したものになるよう、さらなる効率化に向けた取り組みが進められている。
CORPORATE DATA
- 団体名/社会福祉法人 尾道さつき会
- 所在地/広島県尾道市久保町1786番地
- 設立/1978年
- 職員数/障害者関係279名、高齢者関係241名、専門学校5名、研修事業6名(2020.1.1現在)
- 事業内容/障害者支援施設、特別養護老人ホーム、ケアハウス、介護福祉士養成の専門学校等の運営