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2024.09.30

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メンバーの意欲を高める8つのアプローチとは?意欲を高めてエンゲージメント向上を目指す手法を解説

メンバーの意欲を高める8つのアプローチとは?意欲を高めてエンゲージメント向上を目指す手法を解説

見城 吉昭

監修者

見城 吉昭

OJTソリューションズで、お客様の改善活動と人材育成をサポ―トするエグゼクティブトレーナーをしています。トヨタ自動車の機械加工にて39年の現場経験を積み、OJTソリューションズに入社しました。趣味の読書や旅行で自分の世界を広げながら、現場で働く人の声を大事に「働く人の心のための改善」に日々取り組んでいます。

企業に所属しているメンバーは、一人ひとり年次や職場環境、本人の価値観など事情が異なります。入社1年目のメンバーから入社10年目のベテランメンバー、ライフワークバランスへの考え方などメンバーによって個性やバックグラウンドは多種多様です。

管理監督者は、メンバーによって異なる事情を持っていることを理解し、それぞれが意欲的に仕事ができる環境を作り出さなくてはなりません。トヨタでは、8つのアプローチ手法を実践することでメンバーが意欲を持って仕事に取り組める環境づくりに重きを置いています。

本記事ではトヨタが実践しているメンバーの意欲を高める8つのアプローチを通して生産性を高める方法にも言及しています。組織内のメンバーの意欲を高めたいと思っている方はぜひご覧ください。

メンバーの状況を見て随時働きかける

組織に所属しているメンバーが常に十分な意欲を持っていることは稀で、仕事のマンネリや人間関係の悪化などさまざまな要因によって意欲が出なかったり失くしたりしていることが多くあります。どのような職場でも常に意欲的に仕事を続けるのは難しく、一度は「仕事を辞めたい」と思ったことがある人も多いのではないでしょうか。

「新人ならやる気があるだろう」とみなす先輩や上司も多いでしょう。しかし、実際の状況は異なり、「給料さえもらえればよい」「仕事は生きていくためだけに必要なもの」と割り切っている人も多くいます。もちろん、人それぞれ仕事に対する考え方は違って当たり前ですが、「仕事をしたくない」と感じながら働かせるのは人間性の尊重に反するといえます。

そのため、管理監督者はメンバーそれぞれの事情を見極めた上で、その人にあった意欲の上げ方をしてくことが必要です。結果として職場全体の雰囲気がよくなり、チーム全体の成果にもつながります。

メンバーの意欲を高める8つのアプローチとは

トヨタではメンバーの意欲を高めることを大切にしており、具体的な施策として以下の8つのアプローチを実践しています。

  • 上位の目的を示す
  • 仕事の前後工程を確認させる
  • メンバーの意見を採用する
  • メンバーの名前を取り上げる機会を設ける
  • 新人教育に参加させる
  • モデル人材を提示する
  • 目標や役割を開示する
  • 同じ境遇にある人と交流させる

それぞれの内容を詳しくご紹介します。

上位の目的を示す

管理監督者やリーダーからメンバーに抽象的な目標を示しても、ピンと来ない人も多く「何のために頑張るのかわからない」と感じられるかもしれません。そこで、トヨタでは社会的な役割やユーザーの満足など企業の経済活動を超えた上位の目的を伝えるようにしています

例えば「この組立作業があるから、お客様が快適に運転できるんだ」とか「あなたの溶接がうまいので塗装しやすい、と後工程の塗装課長から感謝されている」などという声掛けが部下のモチベーションにつながります。

このように、上位の目的や影響度を伝えることで仕事をする意味や意義を再認識してもらえ、意欲的に仕事に取り組んでもらえるでしょう。このアプローチは意欲を失っているメンバーにはもちろん、新人や転属者に対しておすすめの方法です。

仕事内容を教えるタイミングで上位の目的を伝えれば自分が仕事に価値を見出し、自然と会社方針や企業ビジョンを実現する原動力になるでしょう。

仕事の前後工程を確認させる

「自分が担当している仕事は、全体の中ではあまり意味がないことだ」と無力感を感じたり、「自分がミスをしても誰かがフォローしてくれるはず」と、気を抜いて仕事をした経験のある方は少なくないでしょう。

しかし、どんな小さな作業でも必ず前後の工程とのつながりがあります。例えば、検査工程でミスがあれば1つの部品を廃棄するだけではなく、不具合品に関わった後工程の人たちの作業がムダになってしまいます。

トヨタでは「後工程はお客様」だと考えており、自分のあとに仕事をしてくれるメンバーが不備なく・気持ちよく仕事ができるよう、自分の工程の品質を徹底して守るよう教育されています。場合によっては後工程の応援にもいかせて、自分の仕事の品質が悪ければどれだけ迷惑をかけるのかを実感させるといったことも行いながら、仕事に対する責任感を持たせるようにしています。

以下の記事ではトヨタで実践されている「品質を工程でつくりこむ」方法を解説しています。生産性を高めるために押さえるべきポイントや検査工程の廃止に成功した事例も紹介するので、ぜひご覧ください。

「品質を工程でつくりこむ」とは?必要な2つの考えや成功事例も解説

メンバーの意見を採用する

上からの指示通りに仕事をすることが当たり前でやる気につながらない、という原因のひとつには「どうせ何を言っても自分の意見は通らない」という諦めの気持ちがある場合があります。

そうならないために管理監督者は、普段からメンバーの意見に耳を傾けて、良い部分は汲み取って採用することが大切です。自分の意見が通れば、職場での自分の存在意義や居場所を自覚できるため意欲的に仕事に取り組めるでしょう。

また、自分の発言に対して責任感も生まれるため、仕事に取り組む真剣度が変わります。特定の人の意見しか採用しない職場でも、普段発言しない人の意見を取り入れればメンバーの「発言してみたい」という気持ちを引き出すこともできるでしょう。

メンバーの名前を取り上げる機会を設ける

例えば、体操競技では自ら開発し成功した技には競技者本人の名前が付きます。同じように、トヨタでは成果や改善に対して成し遂げたメンバーの名前を入れることがあります。

これは大きな成果にとどまらず、どんなに些細な改善に対しても同様です。つい見逃してしまいがちな不具合を改善したことに対して褒めることで、他のメンバーの意欲にも火を付けられます

また、成功体験を持たせるために、役員や上司への報告の場で、担当したメンバーが自ら説明する機会を多く設けています。メンバーは自分が携わった仕事であることから自信を持って報告や説明ができるとともに、上司や先輩からの質問に対しても答えられれば、さらに大きな自信につながるはずです。

新人教育に参加させる

トヨタではメンバーを積極的に新人教育に参加させています。新人研修への参加や教育係として教える立場を体験すれば普段会社や上司、先輩から言われていることの意味を実感できます。

また、教育係は、後輩や部下から尊敬されなければ言うことを聞いてもらえません。そのため、「教える立場になった以上、自分の発言や行動に責任を持たなければならない」と自分を律することにもつながります。教育係になるためには一定のキャリアや実力も必要ですが、まずは「部下や後輩から信頼されること」を重視するべきです。職場への不満や仕事へのマンネリを感じているメンバーには、ぜひ教える立場を体験させてみてください。

モデル人材を提示する

誰でも「この人のようになりたい」と感じれば、自然と努力するようになります。トヨタではメンバーに「憧れの人」を見つけてもらい、真似させることで成長を促しています。憧れの人がどのような考え方や行動をしているのかを分析すればおのずとその人に近づけて、自身の成長を早められるでしょう。

モデルとなる人材は、メディアに登場するような「完璧な人」である必要はありません。普段からメンバーの周りにいる身近な存在かつ生活態度や仕事への向き合い方を学べる人を設定させるのが望ましいです。

場合によっては、仕事の実務面、人格面でモデル人材を分けてもよいでしょう。トヨタではリーダーとしてのあり方は多様化すべきと考えています。したがって、モデル人材の選び方に正解はありません。

目標や役割を開示する

仕事はチーム単位ではなく個人にも役割分担させる必要があり、それぞれの仕事に責任を持って取り組ませることが大切です。個人単位の目標やチーム内で果たすべき役割を明示し認識させることで、仕事に対する緊張感を高められます

トヨタではメンバーに仕事への緊張感を持ってもらうために、「日常管理板」を導入しています。日常管理板とは、会社方針や部方針を達成するためにリーダーが果たすべき5大任務を指標化し、日々変動を管理することで現場をよい状態に改善するためのツールです。

以下の記事ではトヨタの日常管理の進め方や日常管理板を使う3つのメリットを解説しています。日常管理板の書き方も紹介するので、ぜひご覧ください。

トヨタの日常管理とは?進め方や日常管理板を使う3つのメリットも紹介

同じ境遇にある人と交流させる

仕事に対して緊張感や責任感を与えるのも大切ですが、同時に「安心感」も与える必要があります。人は誰でも「悩んでいるのは自分だけではない」と感じられると安心し、一緒に頑張ろうという気持ちになります。トヨタではメンバーにそのような気持ちになってもらうために、同じ境遇にある人と交流させています。例えば、同期の集まりへの参加や全社の研修、他部署のメンバーとの交流などが効果的です。

役職が上がれば気軽に相談できる相手が減っていきやすいですが、自分と同じ立場の仲間と交流することで安心感を感じて仕事への意欲も高まります。リーダーとしてのあり方に悩んでいる部下がいる場合は、上司として相談に乗ることだけでなく、積極的に交流の機会を与えて意欲向上を図ることも大切です。

まとめ

トヨタではメンバーの意欲を高めるために、以下の8つのアプローチを実践しています。

  • 上位の目的を示す
  • 仕事の前後工程を確認させる
  • メンバーの意見を採用する
  • メンバーの名前を取り上げる機会を設ける
  • 新人教育に参加させる
  • モデル人材を提示する
  • 目標や役割を開示する
  • 同じ境遇にある人と交流させる

メンバーの仕事への意欲を高めることで、自然と職場全体の雰囲気がよくなり、「頑張ろう」という気持ちが連鎖していきます。全員がそのような気持ちになったときこそ、組織としての真の強さを手に入れられ、生産性や利益の向上につながるでしょう。

仕事への意欲があまりないように感じられるメンバーがいる企業は、ぜひトヨタ式の8つのアプローチを試してみてください。

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