監修者
文室 義広
OJTソリューションズで、お客様の改善活動と人材育成をサポートするエグゼクティブトレーナーをしています。トヨタ自動車にて、製造現場の改善、販売店の事務系改善などの42年の経験をへてOJTソリューションズに入社しました。少林寺拳法で鍛えた「自他共楽」の精神を胸に、お客様の会社の社員になった気持ちで日々改善活動に伴走しています。
どのような業種の現場でも、日々の業務のなかで困っていることや改善すべき問題が存在するはずです。しかし、方針や目標の達成が気になってしまいなかなか改善活動の時間が確保できない企業も多いのではないでしょうか。トヨタでは小さなことから始めてステップアップすることを重視しており、まずはタイムリーに現場で困っていることに目をつけて問題解決に取り組みます。
職場で起こる問題の多くは、ひとつひとつが独立しているわけではなく水面下でつながっています。そのため小さなことでも優先度や問題意識が高いものから取り組めば、最終的に問題の根本解決につながる可能性があります。
トヨタでは問題の正体を突き止めるために「4M」を用いています。本記事では、改善活動や問題解決の具体的な方法をはじめ、トヨタで用いられている「4M」の概要もご紹介します。方針や目標が決められなかったり問題の根本がわからなかったりするとお悩みの方はぜひご覧ください。
現場力を高めるいい職場方針、いい目標を定め、その方針や目標をもとに改善活動を進めたいと誰もが思うはずです。しかし、最初から完璧な職場方針や目標を立てられる人は多くありません。まずは完璧にこだわらず、現場を思い浮かべて今困っているものから洗い出してみてください。
洗い出した困りごとに優先順位をつけ、上位のものから手を付けていきましょう。こういった小さな困りごとの解決に慣れてきたら、徐々に大きなテーマの改善に活動をステップアップさせていきます。
小さな困りごとの解決を繰り返し、改善のテーマを少しづつ大きくしていくとだんだん職場の問題の全体像が把握できてきます。例えば作業のやり方に関する困りごとが多いのであれば、マニュアルや作業標準が職場全体の問題かもしれません。
時には一見関係なさそうな安全と生産性の問題の関連性に気づくかもしれません。こういった職場の問題の全体像が見えてくると、逆算して職場の方針や目標が立てやすくなってきます。
現場で困っているのは確かだが、その正体を見つけられない場合は多くあります。では、現場の困りごとを見つけるにはどんな視点が必要でしょうか?トヨタをはじめ製造業では「4M」の視点をもとに困りごとの正体を突き止めます。以下は「4M」の語源となっている4つの視点です。これらの視点をもとに現場を観察すると困りごとがあぶり出されてきます。
人(作業や意識)で困っていることはないか、機械で困っていることはないか、材料で…と確認していくといろいろなものが見えてきます。多くの場合、職場全体で漠然と困っていることを探そうとするため、意見がぼやけてしまいます。
視点を区切って困りごとを探すと、打つべき手がピンポイントで打てるようになります。メンバー同士で発見しあい、特に困っていることが何かを話し合って改善する。慣れてくれば何か問題に直面した時に「これは4Mの材料の問題だな」と自然に浮かんでくるようになります。
質のよい現場をつくるには、いい方針といい目標が必要不可欠です。いい方針といい目標を立てるためには日々の困りごとの発見と改善が必要であり、トヨタでは常にこの発見と改善が繰り返されています。困りごとの発見と改善を繰り返せば職場の問題の根本解決にもつながりますし、職場の問題の全体像が把握できれば精度の高い方針や目標の設定につながります。
困りごとの発見のために、まずは4Mの視点から現場を見ることを始めてみてください。
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