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2024.10.18

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不良・手直しのムダとは?なくす方法や自工程完結を達成するポイントも解説

不良・手直しのムダとは?なくす方法や自工程完結を達成するポイントも解説

三尾 恭生

監修者

三尾 恭生

OJTソリューションズで、お客様の改善活動と人材育成をサポ―トするエグゼクティブトレーナーをしています。トヨタ自動車にて42年の現場経験、管理職の経験を経てOJTソリューションズに入社しました。座右の銘は「不易流行」。変える勇気と変えない勇気を持つことが大事だと信じ、現地現物でお客様と伴走しています。

どのような仕事でもやり直しや修正が生じる可能性がありますが、それらは全体の段取りを大きく狂わせるため、トヨタでは「不良・手直しのムダ」と呼んでなくすべきだと考えています。やり直しや修正がなければ余計な時間や労力を必要とすることなく、円滑に業務を進められるため、生産性に大きく関係します。

不良・手直しのムダを防ぐためには、自分の工程で品質を保証できるまでつくり込む自工程完結を意識し、後工程とアウトプットイメージを共有するのが有効です。本記事ではトヨタの不良・手直しのムダの概要や具体的な解決方法を紹介します。業務効率を向上させたいと考えている方はぜひご覧ください。

不良・手直しのムダとは

「不良・手直しのムダ」とは廃棄せざるをえないものをつくったりやり直しや修正が必要な仕事をしたりすることを指します。どのような仕事でも後でやり直しや修正が必要になれば、全体の流れや段取りが大きく崩れます。スケジュールが遅れることで取引先やお客様にも迷惑をかけてしまうことになるでしょう。また、材料費や人件費のロスにもつながるため、このようなムダは避けなければなりません。

不良・手直しのムダを防ぐために有効なのが自工程完結の考え方です。自工程完結とは、自分の工程で品質を保証できるくらいまでつくり込んで、やり直しや修正が発生しないようにすることを指します。つまり、自分がおこなうべき業務の範囲を100%にすることが、あとの段取りやスケジュールを円満に進めることにつながります。

自工程完結を達成する2つのポイント

自工程完結を心がけることで不良・手直しのムダを防げますが、達成するためのポイントは以下の2つです。

  • 良品条件
  • 判断基準

やみくもに自分の業務範囲の品質を高めようとしても、思うようにいかないこともあります。しかし、上記の2つを意識して作業に取り組めば、あとのスケジュールや段取りに響かない品質に近づけることができます。それぞれの内容を詳しく紹介します。

良品条件

良品条件とは、その条件どおりにつくれば設計図どおりの品質が保証されるものです。例えば、「この場所に青色のボルト3本を既定のトルクで締めれば品質的に問題がない」といった条件などが挙げられます。

生産現場だけでなくオフィスでも、「いつ、どこで、誰が、何を、なぜやるか、どうやるか(5W1H)」がヌケなく、すべて満たされていることが最低限の条件です。良品条件を最初に定めておけば、すべてのメンバーの目指すところが同じになり、品質の安定につながります。

判断基準

判断基準とは、期待すべき結果を満たしているかどうかを判断するための基準を指します。この判断基準がわかっていなければ、自分がおこなった業務や後工程に回す加工品が完璧か判断ができません。

つまり、判断基準とは次の工程が求める品質基準でもあります。例えば、子どもに「カレーをつくってほしい」とお願いされたとします。

ここでの良品条件は「肉と野菜がルーとともに煮込まれた状態」です。親は気合いを入れて野菜がクタクタになるまで3時間煮込みましたが、子どもの判断基準が「1時間後に肉と野菜がゴロゴロ入ったカレーを食べること」であった場合、「後工程」である子供には喜ばれないかもしれません。つまり、良品基準と判断基準が乖離してしまった状態といえます。

後工程と「アウトプットのイメージ」を共有する

カレーの例で紹介したとおり、次の工程が求めるアウトプットのイメージと現実が異なっていたら、満足させることはできません。オフィスワークの例では、上司に報告書の提出を求められたとき、どのようなレベルの報告書を求められているかが曖昧な場合があります。

上司の要求がよくわからないまま時間をかけて詳細なデータを集めた報告書をつくり込んでも、上司がそのレベルを求めていなければ、時間も労力もムダになります。

トヨタには「後工程はお客様」という考え方があります。お客様である後工程に満足してもらうには、アウトプットのイメージを共有して、自分でも品質を判断できる基準をもつことが大切です。そのようにすれば作業のミスや修正は格段に減らせます。良品条件と判断基準の2つを意識することによって仕事の質は高まり、スムーズに全体の段取りを進められます。

「不良・手直しのムダ」はトヨタの生産現場でムダを見つける視点として使われる「7つのムダ」のひとつです。以下の記事では7つのムダを詳しく解説しています。改善の具体例もまとめているので、ぜひご覧ください。

7つのムダとは?トヨタ生産方式の考え方や改善の具体例も解説

まとめ

トヨタではやり直しや修正は段取りを大きく狂わせるとして、不良・手直しのムダと呼んでいます。不良・手直しのムダを解消するためには以下の2つの方法が有効です。

  • 「自工程完結」を意識して仕事の良品条件と判断基準をもつ
  • 後工程と「アウトプットのイメージ」を共有する

不良・手直しのムダが起こると、業務効率や生産性が低下するのはもちろん、材料費・人件費のロスや、スケジュール遅れなどのさまざまな問題に派生します。

どのような職場でも不良・手直しのムダは起こり得ますが、今回紹介した2つの解決策を意識すれば、効率的に仕事ができるはずです。滞りなく業務を進めたいと感じている方は、ぜひ今回紹介した不良・手直しのムダを解消する方法を実践してみてください。

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