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2024.12.27

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トヨタのリーダーに求められる3つの技能とは?各項目を詳しく解説

トヨタのリーダーに求められる3つの技能とは?各項目を詳しく解説

丸山 浩幸

監修者

丸山 浩幸

OJTソリューションズで、お客様の改善活動と人材育成をサポートするエグゼクティブトレーナーをしています。大阪府出身、トヨタ自動車の品質管理にて41年の現場経験を経て、OJTソリューションズに入社しました。お客様の現場では「この改善、よかったで!」ともう一声の思いやりを大事に、仲間意識が高まるような改善活動ができるよう日々伴走しています。

現場をまとめてメンバーの士気を高める役割を担うリーダーには、いくつか身に着けるべき能力があります。トヨタではリーダーに必要とされる技能はTJI(仕事の教え方)・TPS(標準作業と改善)・TCS(明るい職場づくり)の3つと考えており、リーダーを任せられる前から特別な教育と指導がおこなわれます。

TPSによってつくられた標準作業をTJIでメンバーに身に着けさせ、自信とやりがいを持って楽しく仕事と向き合い、TCSを実現するのがトヨタで考えるリーダーの役割です。本記事では、トヨタのリーダーに求められる3つの技能の概要を詳しくご紹介します。リーダーとしてのあり方やリーダーとなる人物への教育方法を知りたい方は、ぜひご覧ください。

トヨタのリーダーに求められる3つの技能

どのような企業でも、メンバーのやる気を引き出して現場をまとめて、成果を出すのがリーダーの役割です。トヨタではリーダーに求められる資質を、TJI(仕事の教え方)・TPS(標準作業と改善)・TCS(明るい職場づくり)の3つの技能として定義しています

TJIは仕事のやり方を習得させるための効果的な教え方です。TPSは「トヨタ生産方式」と称されたムダを徹底的に排除した効率的な生産を目指す仕事のやり方で、誰かのラクを生み出すために欠かせません。TCSはメンバーひとりひとりの人間性を尊重し、自信ややりがいを持って楽しく仕事ができる職場づくりを目指します。

どの技能も現場力を高めるためには欠かせないものであり、リーダーとなる人物はこれらを意識するだけではなく、上下左右の人間関係においてリーダーシップを発揮する必要があります

①TJI(Toyota Job Instruction):仕事の教え方

トヨタのリーダーに求められる技能の1つ目としてTJI、すなわち仕事の教え方があります。TJIはあらゆる業務における仕事のやり方を習得させるための効果的な教え方を指し、メンバー一人ひとりの能力を発揮させる技能です。メンバーが正しく、効率よく仕事ができるようにするためには、リーダー自身が確実に仕事のやり方を身に着けなければいけません。

トヨタでは、教えたことをメンバーができていない場合、悪いのはそのメンバーではなく覚えるように指導できなかったリーダーの責務とされます。それほどまでに教えることを重視し、指導者や管理者は役職としての責任を持つよう教育されるからこそ、優秀なリーダーが生まれます。また、教えている瞬間だけでなくその前後のプロセスも重要で、習得させたことを実際に業務で活用できるようフォローするのもリーダーの役割です。

②TPS(Toyota Production System):標準作業と改善

リーダーにはTPS、いわゆる標準作業と改善の技能も求められます。TPSは「トヨタ式生産方式」と称されており、世の中に出回る機会が多い言葉であるために、すでに知っている方もいらっしゃるかもしれません。ムダを徹底的に排除して効率的な生産を目指し、よりよい品質の製品を、より安く、タイミングよく、より多くの人に供給する取り組みです

この取り組みを達成するためには土台としてTPSが欠かせません。トヨタの「標準」とは現時点で考えられるもっともよい仕事の仕方です。初心者からベテランまでキャリア問わずに誰でも一定のレベルに到達できるように業務内容を単純にするのが「標準化」です。標準化するためには手順の工夫や道具の改良が必要不可欠ですが、それを改善と呼び、品質のよい製品を安定的に生み出すことにつながります。

以下の記事ではトヨタの「標準」を詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

標準をつくる重要性とは?メリットや記載すべき3つのことも解説

TPSは誰かのラクを生み出すためにあるもの

TPSは仕事の効率化とイメージする方もいらっしゃるでしょう。しかし、TPSの根底には誰かのラクを生み出すためにあるものという考えが隠されています。この性質が生まれたきっかけは、トヨタグループの創始者の豊田佐吉が、母や村の人たちの仕事をラクにしてあげたいと考えて豊田式木製織機を考案したことが始まりです。

仕事を単純化すれば誰でも同じように仕事ができ、本来ひとつの仕事に費やすはずの時間を他のことに使えます。ムダを排除して生産性を高められるため、業務に関わるメンバーの多くが仕事自体をラクと感じられるはずです。TPSと関連している言葉に「自動化」や「ジャスト・イン・タイム」なども存在しますが、リーダーとしてメンバーの仕事をラクにしてあげたいなど真摯な思いを持つことを忘れてはいけません。

③TCS(Toyota Communication Skill):明るい職場づくり

リーダーに求められる最後の技能として、TCSがあります。TCSとは明るい職場づくりを指しますが、単に一般的な標語として現場に浸透させるだけのことはありません。トヨタではTCSの性質を以下の3点にまとめています。

  • メンバーを生身の人間として見る
  • ひとりひとりを多様な個性として認めて平等に扱う
  • それぞれの考える力が発揮できることを後押しする

いわゆるトヨタが大切にしている人間性尊重の意図が込められており、メンバー全員が自信とやりがいを持って楽しく仕事に向き合えるようにします。また、ひとりひとりが持つ能力を存分に発揮させ、さらに伸ばしていける環境と雰囲気づくりがTCSの概要です。職場は個性、経歴ともに異なるメンバーが集まる場所だからこそ、リーダーはTCSを重視し、すべてのメンバーを統率する能力が問われます。

以下の記事では人間性の尊重が強い職場をつくる理由やよいリーダーのあり方を解説しているので、ぜひご覧ください。

人間性の尊重が強い職場をつくる理由!よい監督の仕方や働きやすい職場の特徴も解説

まとめ

トヨタでは、リーダーに対してTJI(仕事の教え方)・TPS(標準作業と改善)・TCS(明るい職場づくり)の3つの技能を身に着けるよう教育をしています。まずはTPSによってつくられた標準作業をTJIでメンバーに身に着けさせます。そして、TCSを実現するために自信とやりがいを持って楽しく仕事と向き合えるよう導くのがリーダーの役割です。

これらの技能を身に着けるために、トヨタでは昇格前からリーダー候補に対して特別教育がおこなわれます。実際にリーダーになる前からTJI・TPS・TCSの概要や重要性を把握しておけば、現場のトップに立ったときにスムーズに仕事が回るだけでなく、メンバーからの人望も得られます。リーダーのあり方やリーダーとして重視すべきことにお悩みの方は、ぜひトヨタが重視している3つの技能を身に着けられるよう、努力してみてください。

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