人は誰でも失敗するもので、どんなに優秀なメンバーでもミスや不良を起こすことがあります。そのため、トヨタでは誰が作業をしても失敗しないしくみを導入しています。新人でもベテランでも失敗しないようなしくみを作ることで、やり直しや修正の手間を省け、業務効率や生産性が高まります。

トヨタではこのような失敗しないしくみを「ポカヨケ」と呼んでおり、失敗したくても失敗できない環境を作り出しています。本記事ではトヨタの誰がやっても失敗しないしくみの概要や「ポカヨケ」を用いた事例を紹介します。業務効率が悪いと感じている方や、ミスや不良が多いと感じている方はぜひご覧ください。

トヨタでは誰がやっても失敗しない「しくみ」を作る

人間は誰でも失敗をするものです。しかし、トヨタでは失敗の責任を個人に押しつけず、失敗しないしくみを作ることによってあらゆる問題を解決しています。新人・ベテラン問わず誰が作業をやっても失敗しないようなしくみを考えることで、ムダなく効率的な仕事が可能です。

トヨタには「ポカヨケ」という言葉があります。ポカ(失敗)をヨケる(避ける)という言葉からもわかるように、これは製造ラインに設置される、作業ミス(ポカ)を防止(ヨケ)するしくみや装置を指します。例えば、ピッキング作業の場合、前の部品を取るまで部品入れのシャッターが開かないしくみが導入されており、初心者でも間違った部品をピッキングしてしまうことはありません。

誰が作業をしても失敗させない「ポカヨケ」

トヨタの「ポカヨケ」は先述したように、誰が作業をしても失敗させないためのしくみです。以前トヨタでは部品を組み立てるときに違うボルトをつけてしまい、数百台分ばらして組み直す事態が発生したことがありました。失敗の原因は部品箱にボルトを補充するときに、違うボルトを入れていたことです。

当時、ボルトを部品箱に補充する工程には「ポカヨケ」がまだ作られていなかったため、「ポカヨケ」の範囲を広げて、部品箱にフタをつける・カードリーダーで読み取ってからボルトを取るようにするしくみを導入しました。さらに、ボルトの納入段階までさかのぼり、ボルトの長さを測ってから納入させる・実物大のボルトと突き合わせができるようにするなどの「ポカヨケ」もさだめました。

このように、トヨタでは「人は失敗をするもの」という前提で、失敗したくてもできないしくみを作っています。

「これは必要か」と考えずに済むしくみを作る

「ポカヨケ」が活きるのは生産現場だけではありません。オフィスワークでも「ポカヨケ」のようなしくみを作ることで、失敗を防げます。例えば、情報伝達が十分におこなわれないことで起こる失敗を防ぐために、書類にチェックマークを入れる欄を設ける方法があります。個人名とチェックマークが入っていれば確認が完了していることを表すため、「聞いていなかった」という事態を防げます。

また、ToDoリストを共有すれば、作業の進捗がひと目でわかるため、本人はもちろん、上司や部下、同僚も仕事の進捗を把握できます。このように、「ポカヨケ」は製造現場だけでなくどのような職場でも有効です。すでにオフィスで取り組んでいるしくみもたくさんあるかと思います。「ポカヨケ」という言葉を職場で共通言語にすると、しくみを考えることが楽しくなってくるかもしれません。

まとめ

トヨタでは新人・ベテラン関係なく、誰でも失敗するものと考えています。そのため、誰が同じ作業をおこなっても失敗しないしくみを導入しており、そのうちのひとつに「ポカヨケ」があります。「ポカヨケ」を作れば失敗がなくなるため、後工程の人に迷惑がかかりません。

また、「ポカヨケ」は生産現場だけではなくオフィスワークにも有効です。書類にチェック欄を設ける・ToDoリストを共有するなどをおこなえば、情報伝達漏れや作業漏れが起こりません。

職場内でミスや不良が多いと感じている方は、ぜひ今回紹介した「失敗しないしくみ」の導入を検討してみてください。