監修者
見城 吉昭
OJTソリューションズで、お客様の改善活動と人材育成をサポ―トするエグゼクティブトレーナーをしています。トヨタ自動車の機械加工にて39年の現場経験を積み、OJTソリューションズに入社しました。趣味の読書や旅行で自分の世界を広げながら、現場で働く人の声を大事に「働く人の心のための改善」に日々取り組んでいます。
仕事の結果や成果さえ出せばそれで満足してしまっている方は多いかもしれません。もちろん求められている結果を出すのは大切ですが、トヨタではそれだけではなく仕事をおこなう際のプロセスにも着目しています。
仕事で予定していた段取り通りに進まなかったが、結果的に力業で乗り切ったという経験はないでしょうか。そのような仕事のプロセスには学ぶべきことが多くあります。「なぜうまくいかなかったのか」を分析するヒントが隠されていることもあり、改善すべき点が見つかるかもしれません。
特に一般企業でもよく用いられているPDCAのうちの「チェック(評価)」機能が抜けてしまうと、問題点を見逃してしまいます。仕事を進めるうえで着目すべきプロセスのチェックについてお話します。
一般企業でもよく耳にするPDCAのサイクルは、仕事を円滑に進めるために欠かせない改善手法です。Pは計画・Dは実行・Cは評価・Aは改善を意味し、これらをくり返しおこなうことで、継続的な改善が期待できます。トヨタでも同様に、日常的に結果を評価し、問題が起これば徹底的に分析し、改善を行います。
多くの企業やそこで働くメンバーはPDCAの重要性を理解していますが、「C」つまり「チェック(評価)」の機能が抜け落ちていることは少なくありません。段取りや途中の工程がうまくいかなくても、望むような結果が出れば「ひとまずよし」としてしまう職場では、問題を問題としてとらえない、なぜ問題が起こったのかにはフォーカスしないなどの状況がよく見られます。
チェックの漏れはあらゆる現場で起こり得ることですが、期待通りの結果が出ていれば、問題があっても見逃されてしまいます。
例えば、あるプロジェクトの中の1つの工程で遅れが生じて、次の工程のスケジュールにまで影響が出てしまいました。ここで遅れを取り戻すべく、本来よりもかなり早いスピードで作業を完了させ、結果的に納期に間に合った場合、それを問題と思うどころか、ピンチをしのいだ充実感すら感じられるかもしれません。
しかし、うまく乗り切ることができたのはたまたま運が良かっただけで次回、同じように対処できるとは限りません。このようなケースにおいてプロセスの振り返りを行わないと、いつ重大なミスや不良につながってもおかしくないのです。力業で仕事をしないといけない場面であるほど、問題が隠れやすいため注意が必要です。
問題を早期に発見するためには、プロセスの途中でムリはなかったか、計画そのものにムリはなかったかをしっかりとチェックすることが大切です。結果はたしかに大切ですが、結果だけを見てあとで大きなしっぺ返しをくらうのは、避けなければいけません。
期待した結果や成果が出れば、誰でもそれで満足して問題が潜んでいるとは思わないでしょう。また、仕事ができる人やピンチを切り抜けて成功させた仕事は、特に問題が潜みやすい傾向にあります。
PDCAサイクルの重要性は理解していても、特にチェック(評価)の機能が抜け落ちている職場はよく見られます。どの仕事でもチェックがきちんとできていれば隠れている問題を早期に発見でき、未然に大きなトラブルにつながるのを防げるはずです。仕事に対して大きな問題を抱えていない職場も、一度PDCAのチェックが抜け落ちていないか、振り返ってみてください。
RELATION
PAGE
TOP