監修者
山本 昭則
OJTソリューションズで、お客様の改善活動と人材育成をサポートするエグゼクティブトレーナーをしています。トヨタ自動車のプレスにて39年の現場経験を経て、OJTソリューションズに入社しました。改善活動には時に大変な場面もあります。それを乗り越える笑顔、会話を特に大事にしています。休日は趣味の山小屋づくりで精神統一をし、日々の仕事の英気を養っています。
職場での意思決定や相談の場としてなくてはならない会議ですが、ただ立場の違うメンバーが集まって議論するだけでは、会議の効果を最大限引き出すことはできません。トヨタでは会議を200%活用するために、3つのポイントを重視しています。
具体的には、「会議の参加者には、事前に会議の目的を伝える」・「意見を出した本人に責任を押し付けない」・「よくないアイデアにもありがとうを伝える」の3点で、どれも会議を最大限効果的にするために欠かせません。本記事では、トヨタ式の会議の進め方と仕事に最大限に活かすコツをご紹介します。会議が思うように回せていないと感じている方は、ぜひご覧ください。
会議を仕切る主催者は、それがリーダーであればなおさら、会議をうまく回すことがメンバーの信頼に直結します。そのために事前に会議の目的を伝えることがとても大事なことです。会議に参加するメンバー全員が何について、何のために会議をするのかしっかり把握できている状態が好ましいです。
あらかじめ会議の目的を伝える意図は、現状に対する解決策を各自考えてきてもらえるからです。メンバーそれぞれに現状と会議の目的を伝えれば、多くの解決策が集まり、議論が建設的になります。建設的になる理由は発言者が情報不足により自分の発言に保険をかけなくてよくなるからで、議題に対する情報を事前に多く把握すればするほど、具体的な状況やリソースを把握したうえで効率的なコミュニケーションが実現します。
会議ではあらゆる立場や現場のメンバーから多くの意見が出る状態が好ましいです。ただし、客観的に見てよい意見や会社が試してみる価値があると感じられる意見に対して、意見を出した発言者に責任を押し付けるのはタブーです。
意見を出すと自分が実行の責任者にされるという構図やイメージができあがってしまうと、メンバーによいアイデアが浮かんでも発言を踏みとどまってしまうかもしれません。また、仕事で試してみたいことがあっても会議で合意を得ずに勝手に一人で試してしまうなどの事態も起こり得ます。
「言い出しっぺが損をする」ことのないように、その場の流れで担当を決めるのは避けるべきでしょう。会議で取り組むことが決まれば、後日能力と適性できちんと役割を判断することが必要です。
一方で、良いアイデアを出した人には、本人のやる気を確認してリーダーに指名することも成長を促すためには有効です。生産現場で言えば「標準」を守っていないことになり、その結果、失敗してしまった場合は問題です。反対にそれがよいやり方だった場合も、チームのなかで横展開されないため、大きな成果にはつながらない可能性があります。
メンバーが積極的に意見を出すのはよいことですが、なかには見当違いのアイデアが出てくることもあります。しかしそのような場合にも、リーダーは「意見を出してくれてありがとう」と感謝の気持ちを述べるのが大切です。見当違いのアイデアに対して真っ向からダメ出しをする人もいますが、ただダメ出しするだけでなく論理的な理由も添えることで発言者の成長を促し、新たなアイデアが多く出るようになります。
トヨタでは悪い点を否定するのではなく、どのような意見やアイデア、行動も一旦は肯定し、真正面から向き合うようにしています。会議であまりよいとは言えないアイデアが出た場合、「みんなで検討しよう」と一度受け取り、他のアイデアのときと同様に議論をすれば、実現が難しい理由を通じて、メンバー全員の成長につながるはずです。
職場の意思決定や相談の場として欠かせない会議ですが、トヨタではただメンバーが集まって議論をするだけではなく、建設的な場とし、参加するメンバーの成長にもつながるように最大限活用する工夫をしています。以下の3つはトヨタが心がけている会議のやり方です。
まずは会議の目的を、参加するすべてのメンバーに伝えます。このときにできるだけ詳細な情報やデータを伝えることで、具体的な状況やリソースを明らかにしたうえで会議に参加でき、現実的で建設的な意見のやり取りが可能です。
また、意見を出しやすい場にすることも大切です。どのようなアイデアや意見にも感謝の意を伝え、しっかり受け止めましょう。このようなことがメンバーの成長を促すことにつながります。会議の効果を最大限発揮したいと考えている方は、ぜひ今回紹介した3つの工夫を試してみてください。
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