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2024.09.11

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問題を絞り込む3つの視点とは?評価のポイントや問題を評価した例を紹介

問題を絞り込む3つの視点とは?評価のポイントや問題を評価した例を紹介

丸山 浩幸

監修者

丸山 浩幸

OJTソリューションズで、お客様の改善活動と人材育成をサポートするエグゼクティブトレーナーをしています。大阪府出身、トヨタ自動車の品質管理にて41年の現場経験を経て、OJTソリューションズに入社しました。お客様の現場では「この改善、よかったで!」ともう一声の思いやりを大事に、仲間意識が高まるような改善活動ができるよう日々伴走しています。

職場では大小さまざまな問題が発生します。起こる問題はひとつだけとは限らず、複数の問題が同時に起こることも少なくありません。起きている問題の実態をつかめずに放置してしまったり、場合によってはそもそも問題が起きていることに気づけなかったりするケースもあるでしょう。

起きた問題は本来すべて解決すべきです。起きている問題がひとつで軽いものであれば落ち着いて対処できます。しかし、多くの場合は大小さまざまな問題が同時に発生します。「どこから手を付けたらいいかわからない」こう悩んでいるうちに時間が経って問題が大きくなることが多いでしょう。では、複数の問題を抱えている場合、どうやって解決の優先順をつけたらいいでしょうか?

トヨタでは問題を絞り込む際に、「重要度」「緊急度」「拡大傾向」の3つの視点で評価します。視点を定めて問題を定量的に評価すれば、取り組むべき課題の優先順位がつけられます。問題の優先順位と重みが明確になり関係者に共有されることで、解決への意識とスピード感が変わり、早期解決にもつながります。

本記事ではトヨタの「問題を絞り込む3つの視点」の概要をはじめ、問題を評価する方法や実際に評価した事例を解説します。

トヨタの「問題を絞り込む3つの視点」とは

業務の中で起きる問題に優先度をつけて解決したい、しかしどう優先度をつけていいかわからない。多くの方からお伺いする悩みです。優先度をつけるために、まずは視点を区切って考えることをおすすめします

トヨタでは問題を絞り込む際に、以下3つの視点を重要視しています。

  • 重要度
  • 緊急度
  • 拡大傾向

この問題は「どれくらい重要度が高くて」「どれくらい急ぎで解決する必要があって」「放置したらどうなるか」この3つの視点で見てみよう、ということです。

重要度

「重要度」は、問題が影響をおよぼす範囲と大きさを判断する視点です。

影響の範囲に関しては、まずは自社内の影響か社外(お客様や仕入れ先)への影響かを考えるのがいいでしょう。従業員が業務しづらいと感じているなど、職場内で収まる問題であればまだ様子を見てもよい段階です。しかし、提供している商品やサービスの質が下がるなど、お客様に迷惑がかかったり愛用者が減ってしまったりするような事態になる場合は「重要度が高い問題」としてとらえるべきでしょう。

影響の大きさは、何らかの原因で取引先からの信用を損なったり業績が下がったりするなどが具体例として挙げられます。放っておくと会社存続の危機につながるケースもあるため、早急な対処が必要です。

緊急度

「緊急度」は、ただちに手を打たないとどのような影響があるかを判断する視点です。優先的に、すぐにでも対処が必要な問題か否かを基準として判断します。

例えば「1年間で1,200万円の売上をつくる」と目標を立て、すでに9ヵ月経過したにも関わらず半分の600万円しか売上がないとします。残り3ヵ月で600万円の売上をつくらなければならず、目標達成が危うい状況です。

計画どおりに目標を達成するには、営業方法を変えたり販路を拡大したりするなどの対策を「ただちに」実行しないといけません。残りの時間は限られていますから、ゆっくり手を打っていたらどんどん状況が悪化します。

このように、残り時間が限られていてすぐに手を打たないといけない場合は「緊急度が高い問題」と判断すべきです。

拡大傾向

「拡大傾向」は、このまま放置するとどれだけ不具合が拡大するかを判断する視点です。過去と今を比較して問題が拡大してきており、今後も問題が大きくなりそうだ、という場合に「拡大傾向が強い」と判断します。

例えば、とある製造ラインの包装工程で今月の不良が20件あったとします。2ヵ月前は5件、1ヵ月前は10件、今月は20件、と問題が拡大しています。3か月連続で不良が増えていますから、おそらく今後も拡大していくでしょう。

これが「拡大傾向が強い」状態です。わかりやすくするために別の例をあげましょう。同じ製造ラインで、印刷不良が50件ありました。絶対数としては包装不良よりも多いです。しかし2ヵ月前は300件、先月は80件、今月は50件と推移しているとしましょう。絶対数としては多いですが、この場合は「拡大傾向は弱い」といえます。

「重要度」「緊急度」「拡大傾向」の3つの視点をもとに問題を分析し、優先度をつけることで効果的な問題解決をすることが可能です。

問題が起きた場合は3つ以上の視点から評価する

職場で複数の問題が起こった場合には、「重要度」「緊急度」「拡大傾向」など3つ以上の視点から総合的に評価すべきです。

1つの視点だけで問題を評価すると、本来優先して取りかからなくてはならない問題があと回しとなってしまったり打つべき施策を間違えてしまったりする可能性もあります。

例えば、「商品やサービスに対してクレームが発生した」「オフィスの空調が悪く適温ではない」の2つの問題が起こった場合では、前者はお客様にも関わる問題のため「重要度」も「緊急度」も高く、優先的に対処しなければなりません。

また、客観的に問題を評価したい場合は、3つの視点の項目ごとに「◎(高)」「〇(中)」「△(低)」で評価し、より「◎(高)」の項目が多い問題から取り組むのがおすすめです。

問題を評価する指標は「重要度」「緊急度」「拡大傾向」以外でも問題ない

トヨタでは「重要度」「緊急度」「拡大傾向」の3つの視点から問題を評価しますが、別の視点で評価しても問題ありません。場合によっては「重要度」の視点が3つ並んでいたり別の視点に置き換えたりしても問題はなく、職場・業務によってまったく別の視点を追加してもよいでしょう。

具体的には、現実的で実行可能か否かの視点である「実現可能性」などが挙げられます。職場や業務が重視する項目によって柔軟にカスタマイズすると、問題を多角的にとらえられます。

3つの視点から問題を評価した例

ここでは実際に3つの視点から問題を評価した例を紹介します。以下の表をご覧ください。

問題テーマ❶重要度❷緊急度❸拡大傾向優先順位
1.クレーム品が多い1
2.顧客情報が共有されていない3
3.残業が多い2

[❶重要度]問題が影響をおよぼす範囲と大きさ
[❷緊急度]ただちに手を打たないと、どんな影響があるか
[❸拡大傾向]このまま放置しておいたら、どれだけ不具合が拡大するか

クレーム品の多さ・顧客情報の未共有・残業の多さの3つを取り上げましたが、「重要度」「緊急度」「拡大傾向」すべてが「◎」となっている「クレーム品の多さ」が、今すぐ取り組むべき問題です。

一方で、顧客情報の未共有に関しても、優先順位は下位なものの決してないがしろにせず、できるだけ早く対策をする必要があります。

まとめ

職場や日々の業務で起こる問題は複数あり、クレームの多さや空調の不具合など、それぞれまったく違った問題に見えるかもしれません。

しかし、今回紹介したトヨタ式の問題を絞り込む以下3つの視点を取り入れれば、取り組むべき課題の優先順位がつけられます。問題の優先順位と重みが明確になり関係者に共有されることで、解決への意識とスピード感が変わり、早期解決にもつながります。

  • 重要度
  • 緊急度
  • 拡大傾向

重要なのは複数の視点から定量的に評価することです。対策にかけられるコストは有限です。複数の視点で優先順位を定め、効率的に問題を解決していきましょう。

問題が起こった際の優先度の決め方や解決方法にお悩みの方は、ぜひ問題を絞り込む3つの視点を取り入れてみてください。

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