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2024.09.11

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「品質を工程でつくりこむ」とは?必要な2つの考えや成功事例も解説

「品質を工程でつくりこむ」とは?必要な2つの考えや成功事例も解説

山本 昭則

監修者

山本 昭則

OJTソリューションズで、お客様の改善活動と人材育成をサポートするエグゼクティブトレーナーをしています。トヨタ自動車のプレスにて39年の現場経験を経て、OJTソリューションズに入社しました。改善活動には時に大変な場面もあります。それを乗り越える笑顔、会話を特に大事にしています。休日は趣味の山小屋づくりで精神統一をし、日々の仕事の英気を養っています。

トヨタの「品質を工程でつくりこむ」とは、各工程で検査が必要ないほど品質が保証されている状態にするしくみです。自分の仕事を確実にこなし、不良品を後工程に流さないことを徹底すれば不良・手直しのムダがなくなり、生産性が高まります

本記事では、トヨタの「品質を工程でつくりこむ」しくみの概要や押さえるべきポイント、検査工程の廃止に成功した事例を解説します。不良・手直しのムダや検査コストを削減して生産性を高めたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

品質を工程でつくりこむとは?

「品質を工程でつくりこむ」とは、各工程で検査が必要ないほど品質が保証されている状態にするしくみです。自分の仕事が完了した時点で、自分の仕事の良し悪しを評価し、悪かったらすぐに仕事を止めて処置をします。不良品を後工程に流さないことを徹底することで、検査が必要ないほどの品質を保証しています。

どのような仕事でも自分の仕事を準備してくれる前工程と、自分の仕事を引き継ぐ後工程があります。トヨタでは「後工程はお客様」を合言葉に、工程ごとの品質保証に取り組んでいます。

品質を工程でつくりこむために重要な2つの考え

品質を工程でつくりこむには、以下2つの考え方を意識しなければなりません。

  • 「自工程完結」を意識する
  • 「後工程」のことを考えて仕事をする

もし不良品を後工程に流してしまえば、トラブルの原因となり、場合によってはラインが止まります。多くの人に迷惑をかけるだけでなくやり直しや修正をしなければならないため、結果的に自分の首を締めることにもつながります。仕事の段取りすべてに大きな支障が出てしまうため、各工程で品質をつくりこむことが重要です。

「自工程完結」を意識する

自工程完結とは、自分の仕事が完了した時点で自分の仕事の良し悪しを評価し、悪かったらすぐに仕事を止めて処置することで後工程に不良品を流さないように徹底することです。自分の工程で品質を完結させる、という意味です。

すべての従業員が自工程完結を守ることができれば不良品は発生せず、究極は「最終検査」の工程は不要になります。生産の工程で従業員が責任をもって品質を確かめ、良品だけを後工程に流せば、品質も担保できますし不良・手直しのムダがなくなり生産性も向上するでしょう。

以下の記事では、トヨタで提唱される7つのムダを詳しく解説しています。それぞれの定義や改善の手法だけでなく覚えるコツもまとめているので、ぜひご覧ください。

7つのムダとは?トヨタ生産方式の考え方や改善の具体例も解説

「後工程」のことを考えて仕事をする

品質を工程でつくりこむために重要なもうひとつのポイントとして、後工程のことを考えて仕事をすることが挙げられます。オフィスワークの例で考えてみましょう。例えば、後工程として報告書を作成して上司に提出するケースでは、上司を「お客様」として扱います

上司がどのような報告書を求めているか、数字やデータに間違いはないかなどをしっかり確認せず報告書を作成してしまうと、やり直しや修正を余儀なくされることもあるでしょう。しかし、上司であればやり直しだけで済むものの、もしお客様に間違った資料を渡してしまうと大きなトラブルに発展する可能性があります。

普段仕事をする上で、製品を買ったり使ったりするお客様のことを意識している人は多いでしょう。しかし「後工程」をお客様ととらえる感覚がある人は少ないと思います。この「後工程はお客様」の意識が自分の仕事の品質を高めます

シャワーヘッドの検査工程の廃止に成功した事例

トヨタの、ある工場長は、検査工程のシャワーテスト廃止の実現に取り組んでいました。自動車は水漏れすると大きな問題となるため、最終検査工程で車体に水を吹き付けて水漏れしないかを検査していました。シャワーテストは当たり前のようにどの工場でもおこなわれており、誰も廃止できるとは考えていませんでした。

しかし、本来検査工程自体そのものは価値を生まず、検査工程があること自体が各工程の自工程完結への甘えを生むおそれがあります。「自分のところで多少ミスや不良があっても、最終検査で止めてくれるだろう」こんな感覚です。

紆余曲折あったものの、工場長のもとで全員が自工程完結に取り組んだ結果、最終的にシャワーテストの廃止に成功しました。

自工程完結が徹底していない職場と徹底している職場の違い

自工程完結が徹底していない職場では、各工程の従業員が「このくらいでいいか」「問題があったらあとで対処しよう」と考えてしまうことがあり、検査工程が必要なだけでなく不良・手直しのムダが発生します。

一方で、自工程完結が徹底している職場では各工程が決められた作業を確実にこなし、後工程の求めているレベルのものをラインに流すため、不良・手直しのムダがなくなり品質が高まります

自工程完結が徹底していないとミスへの対応で余計に時間やコストがかかってしまい、結果として生産性の低下につながってしまいます。

まとめ

「品質を工程でつくりこむ」とは、各工程で検査が必要ないほど品質が保証されている状態にするしくみです。品質を工程でつくりこむには、以下2つの考え方が重要です。

  • 「自工程完結」を意識する
  • 「後工程」のことを考えて仕事をする

トヨタでは、自分の仕事が完了した時点で、自分の仕事の良し悪しを評価し、悪かったらすぐに仕事を止めて処置をします。また、不良品を後工程に流さないことを徹底することで、検査が必要ないほどの品質を保証しています。

不良・手直しのムダや検査コストを削減して生産性を高めたいと考えている方は、ぜひトヨタの「品質を工程でつくりこむ」しくみを取り入れてみてください。

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